前回の続きでNHK 首都圏ネットワークで、ボツになったネタの続きを・・・今回は実際に役立つ「帰宅困難時のグッズ」をご紹介します。防災講演で「帰宅困難時に必要な物は何ですか?」というご質問を受けた際は、実際の持ち物を見ていただいていました。 この持ち物をヒントにご自分に合ったものを見つけていただければ幸いです。
■基本的な考え方
東日本大震災時の帰宅困難者のデータを目安にすると10km未満はほぼ帰宅可能とされ、20kmを超える場合は困難になるとされています。まずは慌てて移動しようとせず、まず身の安全確保や周囲の状況判断を優先することが大切です。
また、徒歩で帰宅できる距離には男女差や年齢差、体力差など個人差がありますので、ご自分の体力を把握しておくことが大切です。
さて、帰宅困難時、誰もが必要なものとして「地図」「ラジオ」「ライト」「緊急連絡用カード」「飲料水」をお勧めしています。
購入するポイントは「軽量」「コンパクト」「普段から利用できるモノ」 そして「季節や個人の用途に合わせて」ということを念頭に置いてご覧ください。
◆地図
自宅と会社を往復する方であれば、経路地図をコピーしたものに道順や途中の避難所、立ち寄れそうな施設や知人宅などをメモして利用しましょう。首都圏にお住まいの方は「震災時帰宅支援マップ」や「防災ぴあMAP 首都圏版」 ぴあ株式会社発行などもお勧めです。
私の場合、移動が首都圏に限らないため、オフラインでも使えるスマートホンの地図アプリを使っています。
詳しくはコチラヘ ⇒ 災害時、必携!「帰宅困難対策」外出時に使えるおススメ防災アプリ( http://www.saigairisk.com/152.html )
◆ラジオ
帰宅困難時の情報収集にはラジオが最適です。できればAM/FMがあれば理想です。ミニFM局が被災してなければ近隣の避難所や支援情報、危険情報を提供する事になっています。下記の帰宅困難カードに地域名と周波数をメモしておくことをお勧めします。
※参考:総務省 開局順コミュニティ放送局一覧( http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/system/bc/now/index.htm )
私はこれまでイヤホンコード巻き取り式のラジオを使っていたのですが、使っているうちに断線が生じるようになったため、今、買い替えを考えています。胸ポットに入れても違和感のない大きさと軽さが良いのではないかと感じています。 3000~4000円台が安価で選択肢の幅もあり良いモノが多そうです。
なお、iPhoneなどのスマホのサイマルラジオは、電波ではなくWeb回線を使用しているうえ、電池を消耗させるため、あまりお勧めはしません。
◆ライト
停電した場合や夜道を歩くのは非常に危険が伴います。また、手元やカバンの中を照らすなどにも必要となります。近年のLEDと蓄電池の開発により、軽量コンパクトなLEDライトが数々出てきています。
今、私が目をつけているのが両手が自由に使えるLED防滴ネックライト(パナソニック)です。この商品は軽量コンパクトで両手が自由に使える上、雨天時や長時間の使用にも充分耐えられるという点です。カタログではウォーキングや犬の散歩などと記載がありますが、災害時はもちろんのこと、照度が変えられるため、ちょっとした手元を照らす際にも利用出来そうです。
◆緊急連絡カードまたは名刺
帰宅困難(災害時レスキュー)カード
自分自身に何かあった場合や携帯の電池がなくなった場合を想定して用意しておくことをお勧めします。あらかじめ家族で話し合った避難所などの情報。家族の勤め先や学校、帰宅困難時の途中経路の連絡先など。
名刺の場合は裏面に血液型や連絡先などをメモをしておくのも良いでしょう。
※カードサイズで、自分の用途に応じて編集できるテンプレートは、こちらからダウンロードできます。帰宅困難(災害時レスキュー)カード http://www.saigairisk.com/wp-content/uploads/b9752e919d599e146194a4a349402485.docx
併せて、普段からご自宅に高齢者が居るお宅では、あらかじめご近所の方へ連絡先(勤務先、電話やメールアドレス等)を渡しておく事が良いかと思います。同様に幼稚園や保育園、高齢者福祉施設の方へ連絡先(勤務先、電話やメールアドレス等)を伝えておく事が大切です。
※「軽量」「コンパクト」「普段から利用できるモノ」
カバンやバッグに入れて重かったり、邪魔になってしまっては本末転倒です。自分にとって必要のないモノは除外して、なるべくコンパクトにまとめられるようなモノが良いです。また、防災用として特別なモノを買う必要はなく、普段からご自分が使うもので充分です。
※「季節や個人の用途に合わせて」
季節や地域性に合わせて、持ち物を入れ替える・・・冬場であればカイロ、夏場であればウェットティッシュやスポーツドリンク(粉末タイプ)など。また、個人の用途に合わせた例として、ご高齢の方は携帯トイレ、女性であれば生理用品を少し余分になど
一人ひとりに合わせた持ち物が必要だと感じています。
■職場など個人で用意すべきもの
◎履きなれたスニーカー・・・東日本大震災の際も靴ずれを訴える人が多かったため、自宅までの距離を考慮して履きなれた運動靴を用意しておくと良いでしょう。また、雨天時や地域性(寒冷地)を考慮すると、雨合羽や長ぐつなどがロッカーに準備してあると安心です。
特に帰宅が困難な人は、職場で泊まれる準備も必要です。
会社として食料や飲料水、毛布などを確保している企業ははまだまだ少ないかと思います。そんな時は一人ひとりの備えが必要です。
◎食料や飲料水、一人分+α程度は机の中に・・・普段は残業用として食べられるカップ麺やレトルト飯。ブロック状の栄養補助食品、チョコレート、ビスケット、ナッツ、せんべいなど。
◎本来であればシュラフ(寝袋)があれば良いのですが、机の引き出しやロッカーに収納すると場所を取ってしまいます。私の場合は折りたたみ式のシートを準備しています。折り畳み時はA3程度ですが、広げると大人2人が横になれて、内側はフリース素材なので冷たいタイル地の床でも過ごすことができます。
◎AC電源だけでなく電池でも使える卓上ラジオ(近年では手回し充電式のライト付きラジオもありますが、モノによっては短時間しか使えないのでご注意を)
◎停電時を考慮して、長時間使えるLEDランタン
◎停電になるとトイレの水が止まってしまう建物もあるため、携帯トイレ(ドライブ用など)
■カバンやバッグ
カバンやバッグを選ぶ基準は、両手が自由に使えることが理想です。また、肩に掛かるベルトが幅広の方が長時間の歩行時に疲れが軽減されます。ご自分の用途やデザインの趣向に合わせて、上記のような点に考慮しながら選んでもらえれば良いかと思います。
◎男性用カバンは3Weyタイプ(手持ち、肩掛け、リュック)であれば、両手が自由になるので安心です。 このカバンは背面にLEDの目印が発光するため、夜道の歩行時や自転車でも安全です。
※参考:エース株式会社 http://store.ace.jp/shop/c/c10000004/
◎女性用の場合も、肩掛け(ショルダー)ではなく、首から斜めに掛けて両手が自由になるようなバッグが理想です。特にベルトは少し幅広の方が肩に食い込みにくいため疲れが軽減されます。
※参考:株式会社プリンセストラヤ Dakoda http://www.rakuten.ne.jp/gold/dakotahouse/
■収納パック
帰宅困難時に使えるものをこの中に収納しています。ドコに何が入っているのかを考慮して半透明の折りたたみケース(A4サイズ)に入れています。普段はカバンの端の方へ寄せて入れてありますが、取り出して広げるとA3サイズになり一目瞭然で中身が把握できます。
◆LEDライトと笛(ホイッスル)
写真に写っているモノはカードタイプの小さなLEDライトと笛(ホイッスル)、そして手回し充電タイプのLEDライト。持ち歩きを前提としているため、いずれも手の中に入る位のコンパクトなモノばかりです。
◆雨カッパ(レインコート)
100円ショップで購入した軽量コンパクトなモノです。雨降り以外にも保温用としても利用することができます。
◆常備薬など
このケースの中には常備薬と薬局からの説明書などを入れてあります。絆創膏やカットバンなどを入れても良いかと思います。
◆マスク
避難所や駅、人が多く集まるところにおいて、風邪などの感染症予防をとして、うつさない。うつされない。ことを目的としています。
◆エマージェンシーブランケット
別名をアルミブランケット、レスキューシートなどと呼び名は様々です。またサイズもメーカーによって色々です。寒さ対策の保温効果や炎天下の断熱効果もあります。それ以外の用途としては風除け、ちょっとした着替えや野外トイレなどの目隠し用にも使えそうです。私の場合、どこかの避難所などへ身を寄せることも考慮して準備しています。
◆手ぬぐい
タオルだとかさばってしまいますが、手ぬぐいならば汗拭きタオルの代用だけでなく、熱冷ましや頭に巻いて帽子代わり。細く裂いて包帯代わりや止血帯、チョットした紐の代用。ペットボトルなどを包んで腰からぶら下げたり。と用途は様々です。
これより下記は個人差によって不必要なモノが含まれていますので、参考程度にご覧ください。
◆携帯やスマホの充電セットなど
これらは帰宅困難時用というよりも普段からカバンに入っているものです。AC電源、車のシガーライターから充電できるようにしています。併せて、iPad、iPhoneなどが充電不足の場合にバッテリー(画像右)につないで供給しています。
◆耳栓とウエットティッシュ(固形圧縮)
避難所では、身体は疲れていても騒がしくてなかなか休めない場合等に耳栓。また、夏場などは暑くて寝付けない場合に、水に濡らせばすぐに使える固形圧縮のウェットティッシュを首などに巻くだけで涼しくなります。
◆簡易救急セット
ホコリなどが進入しないように密閉出来るビニール袋に入れて持ち歩いています。この中には消毒や心肺蘇生に必要なものを入れています。消防や赤十字で心肺蘇生を学んだ方にお勧めです。
消毒用エタノール含浸綿(消毒綿)
医療用の手袋
ガーゼと人工呼吸用マスク(キューマスク)
ゴムバンドとカットバン
◆ソーイングセット
女性の場合はハサミやボタンなども必要になるかと思いますが、私の場合はホテルの小さなものを代用してます。
◆煙ふせぐーん
こちらもホテルなどで用意してある火災時の緊急防煙袋です。この中に空気を入れて頭からかぶって煙から脱出する目的なのですが、中身は大きな透明のビニール袋なので、雨天時はカバンやバッグのカバーとして代用できると考えて常備しています。
以上です。皆さんの防災対策の参考になれば幸いです。
また、皆さんのお勧めの防災グッズや対策があれば是非お聞かせ下さい。