災害リスクアドバイザー 松島康生 

液状化対策(影響~対策案)について

質問:

今わたしが住んでいる所は、液状化の可能性が高いと想定される地域です。
4年前に新築の戸建て住宅を購入したばかりで、ローンもまだ残っており、夫の仕事、子供の学校のことを考えると引っ越すことは考えにくいです。
東日本大震災では幸いにして被害は少なかったのですが、次の災害に備えて対策をとりたいと思っています。まずすべきことや考え方についてアドバイスください。

 

回答:

質問者様が心配されるように、一度住宅を建ててから、液状化の危険があるからと言って容易に引っ越したり、建て替えをするわけにはいかないですよね。

東日本大震災において液状化の被害がなかった地域でも、今後、もっと大きな揺れ(震度)に襲われたり、揺れが中規模でも揺れ方(固有周期)の共振がピッタリ合って、液状化が発生することもあります。

◆揺れ方による液状化の発生例
一般的に震度5から液状化の発生する確率が上がってきます。 阪神・淡路大震災のように揺れが大きい場合は十数秒程度でも発生し、東日本大震災のように震源から離れた中規模の揺れであっても長時間の揺れによっては液状化が発生することがあります。画像のように・・・
◎青:阪神・淡路大震災(神戸市)のように揺れの地震の規模が大きく、激しくガタガタと揺れる
◎赤:東日本大震災(浦安市)のように揺れが中規模であっても、ユサユサと長い時間の揺れる
パターンがあります。

今後、想定されている地震によっては揺れがもっと大きくなる地域もあります。東日本大震災で液状化が発生しなかった場所においても、液状化する危険が考えられます。

◆液状化の影響とは
ニュース映像でもお分かりの通り、建物の基礎ごと沈下してしまったり、傾いたりします。また、地中の下水道などの埋設物が寸断したり、電柱が傾き電線類の断線。併せて、液状化による道路下の空洞化が発生して、道路陥没する現象もみられます。
まさにライフラインが途絶えてしまう可能性があります。

さらに、家屋に直接的な被害がなくとも、沈下による傾きは重大です。
たった0.2度の傾斜でも違和感を感じ、0.5度以上の傾きで平衡感覚(三半規管)に障害が発生し、めまいや吐き気が起きる等の報告もあります。

◆液状化対策はどうすれば良いのか
1.地盤を調べる
質問者様は既に「液状化の可能性が高いと想定される地域」と把握されているので、この部分は必要ないかも知れませんが、念のため確認方法を記しておきます。

①地震ハザードマップの液状化危険度からお住まいの場所を確認する。
参考:国土交通省 http://disapotal.gsi.go.jp/bousaimap/index.html?code=1

②土地条件図などで地盤を確認する。
参考:国土地理院 http://disapotal.gsi.go.jp/totijouken/index.html

③過去に液状化が起きていないか、お住まいの図書館で歴史(市史、町史、村史)などで履歴を確認する。

④もっと確実に調べたい場合は、災害リスク評価研究所や地盤・地質調査会社へ依頼する。
災害リスク評価研究所 http://www.saigai-risk.com/personal.html

2.地盤対策
質問者様は、4年前に新築されたということであれば、物件の引き渡しの際に契約書、重要事項説明書と共に地盤調査の説明や書類の提出があったかも知れません。液状化の影響が高い場所であれば、既に住宅を建てる前に地盤補強されている場合もありますので、ご確認をお願い致します。

なお、多くの地盤保証は引渡しから5~10年とさまざまで、限度額も決められている事があります。

⇒液状化対策の工事を行っていない場合・・・近年、既存建物においても液状化防止のための工法があります。立地や地盤状況、予算に応じた工法を検討できますので、地盤・地質会社へご相談されてみてはいかがでしょうか。

3.家の中の地震対策
液状化に立地した場所だと、他に較べて揺れが大きくなることが予想されます。
東日本大震災においても、同じ地域にあっても液状化の危険エリアと、そうでない場所では揺れ方に大きな差が見られました。
また、大地震発生時、家具類は凶器になる恐れがあるため「倒さない」「出さない」「落とさない」工夫と対策をされることをお勧めします。

4.ライフラインの途絶対策
液状化の危険性が高い地域では、自分の家が大丈夫であっても、上水道、下水道、ガス、電気、電話、道路と呼ばれるライフラインに重大な影響が出ることが予想されます。

このことから、ライフラインの途絶を考慮して、多めの飲料水、生活用水の確保(お風呂の水など)、簡易トイレやカセットコンロの用意などをしておくことをお勧めします。

5.地震保険
原則、地震を原因とする液状化被害は地震保険の対象となっています。被害の程度(傾斜や沈下)によって保険金の支払額が変わってきます。

詳しくは、日本損害保険協会のHPを参考にしてください。
http://www.sonpo.or.jp/useful/insurance/jishin/

 

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松島 康生
この記事を書いた人
災害リスク評価研究所 代表
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